※この記事は2023年6月に更新されました。
海外で働こうと情報収集を始めると、よく見かける・よく聞く2つの言葉。違いがよく分からない方も多いかもしれません。
ここでは、日本採用(駐在)との比較をしながら「タイの現地採用とはなにか?」についてご説明します。
記事の目次 |
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2. 気になる待遇面について 3. 給与相場について 4. 賞与(ボーナス)・諸手当・福利厚生 5. 日本人求人の傾向 6. 求められる人物像 |
タイの現地採用と駐在の違いとは?
海外で働く場合、現地法人で採用される現地採用という場合と日本本社で雇用されている駐在員として海外法人に出向する場合の大きく2つのパターンに分けられます。
| タイの現地採用 | 日本採用(駐在) |
雇用元 | 現地の日系・外資系現地法人や現地ローカル企業 | 日本法人 |
給与 | 現地相場(現地通貨) | 日本での給与+現地給与 |
日本の健康保険、年金 | 自己負担(任意加入) | 会社負担 |
福利厚生 | 医療保険 | 住宅手当、社用車支給、海外旅行保険加入、帯同家族分の手当など |
勤務地 | 異動は原則無し (自分の意志で決められる) | 会社の辞令による |
任期 | 無し(自分の意志で決められる) | 一般的に3~5年 |
裁量権 | ポジションや社内の組織体制による | マネジメントクラス以上 |
気になる待遇面について
どちらにも一長一短がありますが、やはり気になるのは給与などの待遇面だと思います。
日本採用(駐在)の場合は、会社からの辞令によって派遣されているため、その分手当やサポートも手厚いです。マネジメントポジション以上に就く方が多いので、会社の顔として十分生活できるような待遇が与えられます。
タイの現地採用の場合は、現地相場に合わせた給与のため、家賃や通勤は自分でやりくりする必要があります。(社用車の送迎がつくことはありますが、専用車支給は稀です。)
現地相場の給与と言っても、タイは日本人の最低賃金を月50,000バーツ (20万円程度、1バーツ=4.0円で計算)と定めているため、外国人として生活するのに十分な額が支給されます。物価や家賃が安いため、実質的な生活レベルは日本同等かそれ以上になる可能性もあります。
給与相場について
タイで現地採用として就労する際の給与相場については、職種・年代・語学レベルに応じて大きく分けて下記の通りとなります。
あくまで平均的な月収の目安となりますので、ご了承ください。(すべて税込み)
職種別
営業職 スタッフレベル:50,000~80,000バーツ
営業職 マネジメントレベル:70,000~150,000バーツ
技術職:60,000~200,000バーツ
事務職 スタッフレベル:50,000~80,000バーツ
(総務、経理、営業サポートなど)
事務職 マネジメントレベル:80,000~150,000バーツ
IT(ヘルプデスク、SEなど):50,000~150,000バーツ
年代別
新卒や未経験の場合を除き、年齢のみで給与が決まることはありませんが、あくまで目安としては下記となります。
もちろん経験年数やスキルによって、給与は前後します。
30代:60,000 ~80,000バーツ
40 代以上:70,000バーツ以上
語学レベル
業務内容によりますが、語学レベルに応じて、相場給与より上乗せされる場合があります。
英語ビジネスレベル以上:+5,000~10,000バーツ
タイ語日常会話レベル~ビジネスレベル:+5,000~10,000バーツ
例えば、実際に出たオファー給与のモデルケースをご紹介します。
日本またはタイでの業務経験や語学力、マネジメント経験の有無などによってオファー給与は異なります。
Aさん:20代後半、日本で営業経験5年、英語日常会話レベル → 営業職 60,000バーツ
Bさん:30代後半、営業経験10年、英語ビジネスレベル・タイ語日常会話レベル → 営業マネージャー職 85,000バーツ
Cさん:40代後半、日本とマレーシアで人事・総務・経理など15年超、英語ビジネスレベル → 管理部門マネージャー職 100,000バーツ
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賞与(ボーナス)・諸手当・福利厚生
タイの賞与、諸手当、福利厚生は会社ごとに様々です。
日本人の現地採用者については、日本本社側の条件を適応する会社もあれば、タイの現地法人の条件を適応するところ、現地法人の条件を適応する場合でも、日本人だけローカルとは別の条件を設けているところもあります。
賞与(ボーナス)
賞与(ボーナス)は、年1、2回の支給となります。支給月は4月、7月、12月、1月の何れかを設定している企業が多いです。
支給額については、業績連動のところもあれば、1ケ月~6ケ月分と企業の業績や個人のパフォーマンスによってかなりの幅があります。
また、賞与(ボーナス)は前年度の業績貢献によって支給されるものですので、初年度は通常支給無しか、在籍日数に応じた支給額の計算となります。
諸手当
諸手当については、主に役職手当、通勤手当、住宅手当、残業手当、インセンティブ、皆勤手当て、食事手当があります。
日本人の現地採用者に対しては、現地のタイ人社員との給与バランス調整を主な目的として、基本給と諸手当については面接時の相談で決めるケースも多い状況です。
通勤手当:バンコク市内勤務の場合は、3割程度の企業が通勤費用の実費支給または2,000バーツ程度の手当をつけています。
バンコク郊外や地方勤務になる場合は、通勤用の社用車の貸与またはドライバー付送迎車をつけたり、他の社員との乗合通勤となる事もあります。
住宅手当:原則として支給はありません。
地方勤務の場合、数千バーツ~30,000バーツまでの住宅手当や社宅として借りているコンドミニアムの一部屋を会社負担で支給しているケースもあります。
残業手当:支給無しとなるケースが多いです。日本人の場合、最低給与額の5万バーツがタイ人マネージャークラスと同等であるため、一般的にはマネージャークラス以上の役職での採用となります。
食事手当:オフィス勤務の場合は原則として支給はありません。
製造業の工場勤務の場合、食事手当として1日あたり20~40バーツ程の補助がある場合があります。製造業の工場内には、社員食堂がある企業も多く、タイ料理の一皿料理が20~60バーツ程で食べられるようにしているところもあります。工場で勤務する日本人社員に対しては、日本食のお弁当を出前注文しているところもあります。
福利厚生
福利厚生は、非金銭報酬で主に有給休暇、保険、プロビデントファンド、社員旅行、社内パーティーやスポーツイベント等があります。
有給休暇:年間6~15日で設定している企業が多いですが、特に有休日数の規定を設けず、申請ベースで有給休暇を支給している企業もあります。初年度は有給がなく、勤続1年以降に支給するケースもあります。別途Sick Leaveと呼ばれる病気休暇が年30日支給されますので、体調不良の際はそちらを利用できます。
保険:タイで就労する場合は、社会保障(Social Security Fund)に強制加入となり、月々750バーツが毎月の給与から差し引かれます。タイ国内の社会保障適用病院を一か所選択し、基本的に診察費~薬代無料で医療が受けられる制度となりますが、なかにはタイ語しか通じなかったり混雑して待ち時間が長いなど外国人にはハードルの高い制度です。
そのため、民間医療保険(グループ保険含む)や海外旅行保険に別途加入している企業が多い状況です。
日本人求人の依頼のある日系・外資系企業の約8割はタイの民間保険を導入しています。タイ系ローカル企業でも、大手企業を中心に民間保険対応を行っています。
プロビデントファンド:タイの退職金給付制度で、毎月個人・企業それぞれが積立金を行う制度になります。日本の確定拠出年金(401K)と同じような制度で、加入者が月々の給与から掛け金を積み立て運用するものになります。
社員旅行・社内パーティ・スポーツイベント:プライベートでの人と人との繋がりや人間関係を重視するタイならではの福利厚生です。社内イベントの有無が離職率にも影響を与えるほどです。
所得税
タイの所得税は1~12月の暦年で計算されます。日本と同じく累進課税で年間の所得に対し0~35%の税率が適応されます。
納税者は税務当局から送付される納税申告書に会社が発行する給与証明書を添えて申告をしますが、申告手続きは一般的には企業の人事や経理が行ってくれます。
タイでは給与から控除されるものは、基本的には所得税と社会保険料のみです。
雇用形態
タイの現地採用者の雇用形態は、大きく分けて正社員、契約社員の2種類があります。
契約社員雇用の場合は、1年での契約更新としているところが多く、パフォーマンスに問題なければ、そのまま契約更新となります。
企業が契約社員雇用を導入する主な理由は、正社員にした場合に生じる日本人とタイ人の給与格差を解消するため、もしくは定年(55歳以上)の方を採用する場合の策とするケースが挙げられます。
契約社員の待遇については企業により異なりますが、契約社員でも正社員同様に賞与(ボーナス)、昇給、福利厚生制度が受けられることもあります。
日本人求人の傾向
タイは、タイ人の雇用を守ることに重きを置いているため、「日本人(外国人)でなくてはならない仕事」であるかということがポイントになります。
日本人現地採用の求人は、主に日系顧客対応を行う営業やタイ国内で人材が不足しているエンジニア(IT含む)、タイ在住の日本人をサポートするカスタマーサポートのポジションが多い傾向です。
業界
タイの産業が自動車産業に牽引されていることから、日本人の需要は製造業に偏っています。
自動車製造に関わる自動車関連部品メーカー、 金型メーカー、機械メーカー等からの求人数が多く、ここ最近ではFA機器関連企業からの求人も増えています。
非製造業では、IT・物流・商社からの求人数が目立っています。また、金融・コンサルティングファームが専門性のある人材を募集することもあります。
職種
職種としては、約40%を営業職が占めています。
営業と一言でいっても、未経験でも応募可能なジュニアポジションや日系顧客からの問合せ窓口としての内勤営業、同業界での経験を活かした即戦力としての営業ポジションなど幅広くあります。
営業(タイ国内日系企業向け既存営業・新規開拓、海外営業)
工場管理(工場全般の管理、運営)
技術(品質管理、生産技術、設計、金型・加工、生産管理)
IT(ヘルプデスク、SE、デザイナー)
事務職(秘書、営業事務など)
カスタマーサービス
会計士、コンサルタント、弁護士
勤務地
バンコク
バンコク近郊(パトゥンタニ県、アユタヤ県、サムットプラカン県:バンコクから車で1 時間程度)
タイ中部(プラチンブリ県:バンコクから車で 3時間程度)
タイ東部(ラヨーン県、チョンブリ県:バンコクから車で 2,3 時間程度)
※タイ北部(チェンマイなど)は日系企業の進出が少ないため、求人案件はあまりありません。
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求められる人物像
前述のとおり、企業がタイ人ではなく日本人(外国人)を採用するにはそれなりの理由が必要です。
「業務経験」「技術力や資格」「語学力」「人柄」など様々な要素がありますが、何か一つでも自信を持ってタイやその企業に貢献できると言えるものがあれば、十分アピールポイントになると思います。
タイで働く現地採用に求められる人物像としてまとめると下記となります。
1. 短大・四大卒以上歓迎 ※一部企業では、ビザ取得要件に大卒が求められることがあります。
2. 職務経験最低1年以上 ※新卒が応募可能な案件は限られております。
3. 語学力
英語: TOEIC600~700点(目安)以上が理想となりますが職種などにもよります。
求人票に「日常会話以上」という表記がある場合はタイ人スタッフとの意思疎通、書類作成、メールのやり取りができれば可というレベルだと思ってください。
ただし、TOEICなどの点数よりも現場でのコミュニケーションを重視することが多いので、企業との面接内でスピーキングチェックを行い「話す」「聞く」スキルを判断されることもあります。
タイ語 : 日常会話以上できれば、アドバンテージとなります。
多くの場合は、タイ文字の読み書きの必要は無く、簡単な業務指示や意思疎通が図れれば問題ありません。
4. タイ在住経験のある方 ※留学経験やタイ駐在・就業経験があれば尚良いです。
5. フットワークの軽い方 ※面接はタイ現地にて実施されるケースが多いです。
タイの現地採用のメリットとは?現地採用=自分で自由にキャリアを描ける
タイの現地採用として働くメリットはなんでしょうか。自身のキャリアを考えたときに、下記のような点があるかもしれません。
自分の好きな国で好きな期間働くことができる(納得いくまで海外で挑戦できる)
日本ではなかなか入社できない大手企業や外資系企業で働けるチャンスがある
若手の場合は、未経験業界・業種への挑戦できるポジションが多い
実績やスキルによって日本採用に登用してもらえるチャンスがある
日本へUターン就職する場合でも、海外就労経験や英語力がアピールポイントとなり、キャリアアップにつながる可能性がある
タイで現地採用として働く多くの日本人にお会いするなかで、皆さんそれぞれのメリットを感じられています。今は気づかなくても、日本にUターン就職した後に現地採用としての就業経験をプラスにとらえられる方もいらっしゃいます。
タイの現地採用は、自分次第で可能性は無限大に広がります。もし少しでもタイで働くことに興味を持った方は、お気軽にご相談ください。
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